黄砂の予報が出た日に顔がむずむずすると、洗顔や保湿を増やしたほうがよいのか迷うものです。黄砂の飛来と皮膚のアレルギー症状には関連が報告されていますが、同じ日にかゆくなったというだけでは原因を断定できません。まずは症状が出たタイミングと使用中の化粧品を確認しましょう。化粧品の使用中や使用後に異常が出た場合の対応を優先し、そのうえで刺激を抑えた洗浄・保湿と、黄砂情報を活用した外出の工夫を考えます。
黄砂で肌がかゆくなることはある?
環境省の冊子では、黄砂の飛来と、眼・鼻・皮膚のアレルギー症状との関連が紹介されています。屋外にいる時間が長いほど症状が出やすいという報告もあり、黄砂が肌の症状に関係する可能性はあります。一方、健康への影響には未解明の点も残っています。「黄砂が飛んでいるから、このかゆみも黄砂のせい」とは決めつけないことが大切です。
黄砂が飛来する時期は、スギ花粉の飛散時期と重なることにも注意が必要です。また、日本皮膚科学会は、化粧品が直接肌に触れることで、刺激性やアレルギー性の接触皮膚炎が起こり得ると説明しています。季節の影響だけに目を向けず、何を使ったあとに、どこがかゆくなったかも振り返りましょう。

化粧品を使って異常が出たら、追加のケアより使用中止を
化粧品の使用中や使用後に赤み、腫れ、かゆみ、刺激などが現れた場合は、その製品の使用をただちに中止します。日本化粧品工業会は、水かぬるま湯で洗い流し、肌を触ったり、タオルでこすったりしないよう案内しています。黄砂の影響だと思っていても、化粧品の使用と症状のタイミングが重なるなら、使い続けずに対応しましょう。
このときは、「乾燥しているから美容液を重ねる」「保湿用なら問題ないはず」と新しい化粧品を追加するより、異常が出た製品の使用をやめることを優先します。化粧品による肌トラブルは、自己判断で使用を続けず、できるだけ早めに診療を受けることが勧められています。 出典
洗顔は、黄砂を落とそうとしてこすりすぎない
洗顔では、肌についたものをしっかり落とそうとするあまり、強くこすったり、何度も洗ったりしないようにしましょう。日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインでは、洗浄剤の頻回・不適切な使用は乾燥を悪化させる可能性があるとされています。黄砂が気になる日だからといって、洗顔回数や洗浄力を一律に増やす考え方は避けたいところです。
洗浄剤を使うときは、よく泡立てて、こする力をかけずに洗い、十分にすすぐことが基本です。乾燥や刺激が強い場合には、洗浄剤の使用を最小限にするという考え方も示されています。「念入りに洗う」ことを、長く洗うことや強くこすることに置き換えず、肌への負担を抑える方向で見直しましょう。
これらは、アトピー性皮膚炎のケアで示されている洗浄方法を、刺激を抑えるための参考として紹介したものです。黄砂の除去率や、洗顔によるかゆみの予防効果を示すものではありません。「帰宅後に洗顔すれば症状を防げる」とは考えず、洗顔だけでかゆみに対処しようとしないことが大切です。
保湿は日常のケア。かゆみや炎症の治療とは分けて考える
保湿はスキンケアの一つですが、保湿をすれば炎症まで治るわけではありません。日本皮膚科学会は、アトピー性皮膚炎では保湿を含むスキンケアと、炎症を抑える治療の両方が大切だと説明しています。黄砂が気になる時期も、乾燥に対するケアと、赤みやかゆみへの対応は分けて考えましょう。
保湿用の化粧品であっても、使ったときにかゆみや刺激が出るなら、無理に続けるものではありません。いったん使用を中止し、水かぬるま湯で洗い流します。赤みやかゆみがある肌に保湿だけで対処し続けるのではなく、化粧品の使用を見直し、必要な治療について皮膚科で相談しましょう。
外出前は黄砂情報を確認。マスクは吸入対策として
外出前には、気象庁の黄砂解析予測図が参考になります。地表付近の黄砂の濃度と、大気中の黄砂の総量を確認できます。ただし、数値モデルによる予測のため、図で示された分布域の外でも薄い黄砂が観測される場合があります。色が付いていない地域だから影響はない、と判断するための情報ではありません。
環境省は、黄砂飛来時には不要不急の外出を控えることや、外出時に不織布マスクなどを使うことで、黄砂の吸入量を減らせる可能性を示しています。飛来が予想される日は、急ぎでない外出の予定を見直すなど、無理のない範囲で行動を調整しましょう。
マスクについての説明は、あくまで黄砂の吸入を減らすための対策です。肌のかゆみを防ぐ効果や、顔の皮膚を完全に守る効果に置き換えることはできません。外出の工夫とスキンケアは役割を分け、マスクをしているから肌の症状が出ないとは考えないようにしましょう。
皮膚科に相談するときは、使用品と症状の経過を伝える
化粧品の使用に伴って肌トラブルが起きた場合は、できるだけ早めに診療を受けましょう。日本化粧品工業会は、受診時に使用した化粧品と、その全成分が分かるものを持参するよう案内しています。容器や外箱など、成分表示を確認できるものを手元に残しておくと、相談時に役立ちます。
相談するときは、「黄砂が原因だと思う」と結論だけを伝えるのではなく、いつから、どの部位に、どのような症状が出たか、何を使っていたかを整理して伝えましょう。黄砂の飛来日に症状が出たことも一つの情報ですが、それだけでは原因は決まりません。使用品と症状の経過を具体的に伝えることを意識してください。
黄砂の時期に肌がかゆいときの基本は、原因を決めつけず、異常が出た化粧品を使い続けないことです。洗顔はこすりすぎを避け、保湿を治療の代わりにしないようにしましょう。スキンケアを足して解決しようとするよりも、現在の症状に合わせて使用を見直し、早めに相談することを優先してください。
